ひとつの輝き

「何?このマンション経営してんの?」 

ん?経営… 


「いや…そうじゃないけど親が…」  


そこまで言って、あたしは口を閉じた。 

今までの記憶を奥深く掘り出しても全然いい事すら出てこない。 


20階になったのも父親が決めた事。 

20階が一番広い部屋だから…。 


リビングだって風呂だって何もかもがでかい。 

見晴らしもいいし20階が一番安心とか、よく分からない理由で決められた事。 


良いと言えば見晴らしがいい事だけ。 


だから親が決めた!って自分ではいいたくなかった。 


全て親に仕切られているみたいで、その言葉は発したくない。 



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