そこの御曹司、ちょっと待ちなさい!
終始和やかなムードで食事を終えると、慎吾は店の人を呼び、カードを渡した。
店の人がそれを受け取り、部屋を出ていったのを見届けると、私は自分のバッグから財布を取り出す。
「いつも払ってもらってるし、なんだか悪いわ。
今日は私が」
「いいんだよ。
これくらい、払わせて」
「そう?......じゃあ、甘えちゃおうかな。
いつもありがとう、慎吾」
まったく粘りもしないであっさりと引くと、さっさと財布をしまい、うふふと笑い合う。
和やかなお花畑ムードだけど、慎吾は知らない。
私が最初から全く払う気がないくせに、あえて財布を出そうとして好感度を稼いでいる外道女だということを。
結局はどうせ慎吾が払うのに、このやりとりも毎回毎回面倒。
はっきり言って省略したいけど、そういうわけにもいかない。
男に払ってもらって当たり前!なんて態度でもいけないし、逆に、強情になって絶対払う!と下手に突っぱねてもいけないし、店員の前でどっちがお金を払うかもめるなんて、もっての他。
全く、男を立てることができて、気遣いのある優しい女を演じるのも大変ね。
だけど、どうにか結婚にこぎつけるまでは、決してシッポを出すわけにはいかない。
店の人がそれを受け取り、部屋を出ていったのを見届けると、私は自分のバッグから財布を取り出す。
「いつも払ってもらってるし、なんだか悪いわ。
今日は私が」
「いいんだよ。
これくらい、払わせて」
「そう?......じゃあ、甘えちゃおうかな。
いつもありがとう、慎吾」
まったく粘りもしないであっさりと引くと、さっさと財布をしまい、うふふと笑い合う。
和やかなお花畑ムードだけど、慎吾は知らない。
私が最初から全く払う気がないくせに、あえて財布を出そうとして好感度を稼いでいる外道女だということを。
結局はどうせ慎吾が払うのに、このやりとりも毎回毎回面倒。
はっきり言って省略したいけど、そういうわけにもいかない。
男に払ってもらって当たり前!なんて態度でもいけないし、逆に、強情になって絶対払う!と下手に突っぱねてもいけないし、店員の前でどっちがお金を払うかもめるなんて、もっての他。
全く、男を立てることができて、気遣いのある優しい女を演じるのも大変ね。
だけど、どうにか結婚にこぎつけるまでは、決してシッポを出すわけにはいかない。