そこの御曹司、ちょっと待ちなさい!
場違いだったのかもしれない。

心臓に極太の毛が生えていてもおかしくないくらいに神経が図太い、そう自負する私が気後れしてしまうくらいに、ここは華やか。


土曜日の夜。

私と慎吾が働いているビルの53階、高級レストランを貸し切って行われた例の婚約パーティーは、想像以上にセレブな世界だった。


慎吾と付き合わなければ来る機会もなかっただろう、夜景の綺麗な高級レストランにいるのは、見るからに高級そうな素材の華やかなドレスやスーツ、上品な和服の人たちばかり。

ショッピングセンターで買ったポリエステルのドレスの私とは大違い。


エメラルドグリーンのカクテルドレスに、同系色のきれいめなヒール。髪も美容院で巻いてもらってアップにしてきた。

マナーは守っているはずだけど、同じようなデザインでも、そこら辺の安い店で買ったワンピースと何万円もするブランドのワンピースでは全く違うように、やっぱり嫌でも値段で差が出てしまう。


婚約パーティーなのに、金にものを言わせて、結婚式以上の華やかさと高級さを醸し出し、庶民に疎外感を味わわせるなんて、全くセレブっていうやつは、これだから......

うらやましいっ!!




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