そこの御曹司、ちょっと待ちなさい!
「何回考えても、結局意味なんてなかった。
そもそも、慎吾が貧乏だったら、最初から興味さえ持たなかったという結論に達したのよ」


最初から、愛せるか愛せないか、なんて、そんな高度なことを考える段階に達していなかった。
 
もしも慎吾が貧乏だった場合、視界にさえ入れなかったに違いない。


「......だろうな」

「貧乏イケメンか残念セレブかなんて、極端すぎたのよ。
小金持ちくらいが一番幸せなのかもね」

「は?」


貧乏は大嫌い。
お金はあった方がありがたい。

ぶっちゃけ、愛よりもお金が好き。
だけど、愛もあればありがたい。


だったら、何も残念セレブに金目的で近づくよりも。

そこそこ金を持っていて、そこそこいい男で、まあまあ好きになれる人ぐらいが一番幸せなのかもしれない。


そうすれば、慎吾への気持ちは全て打算と計算なのか、それともそのなかにほんの少しでも愛があるのか、なんて悩まずにすんだ。

傷つけずにすんだ。




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