拗らせDKの偏った溺愛


それでも私はどうであれ、高村くんが忘れてくれるなら、それでいいです!

それに、そのうち私のような地味子はその存在すら忘れてしまうかもしれません。

とにかく昨日の僅かな時間でさえ、彼の周りにはキラキラした女の子がたくさん集まっていました。

髪の毛から爪先まで手入れを怠らないような女の子に囲まれるのが常なら、地味子に目を向ける暇などないですからね!

生まれて初めて地味で良かったと思います。


ということで、綾乃ちゃんに相談する前に自分で出してみた答えがこれです。


”とにかく時間とともに高村くんの興味が薄れていくのをじっと待つ!”


ちょっと他力本願過ぎる気もしますが、他になにも思いつかなかったのです。

…今日のお昼休みに綾乃ちゃんが高村くんの、"とことんいじめてやる"発言を回避する素敵な方法を授けてくれると嬉しいのですが。


粛々と進められる授業をボンヤリと受けながら、その日はそのまま何事もなく過ぎていきました。

お陰で"いつ高村くんが教室に入ってくるか"ということへのドキドキは無駄に終わりました。

その分、楽しみにしていたお昼休みの綾乃ちゃんの返事は、


「きゃ〜〜〜〜!!!美咲、リュウくんにそんなこと言われたの!?超羨ましい!!!」


という思ってもみないお返事でした。


いえ、もちろん、キスやなんかのことは恥ずかし過ぎて言えなくて。

なので、綾乃ちゃんに説明できたのは高村くんに言われたことだけなんですけど…。



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