こんな男に誰がした!


8月3日になった。


そう言えば、相手の名前や年齢など、まったく聞いてなかった。


母親と共に車でホテルに向かう。


「相手の方の名前は?」



「お会いする時の、お楽しみ。」


「面倒な人じゃないですよね。」


パーティーには、はた迷惑な人達もきている。そんな人達とは、深い知り合いにはなりたくない。


「大丈夫よ。私たちがそんな方と縁談を進めると思っているの?」


「わかりました。父さん母さんを信じますよ。でも、お互いに気に入るかどうかは、保証できませんよ。」




ホテルに着くと、そこは花園ホテルだった。


和食のレストランで、軽くランチをすると言う。


5分位すると、


「お待ち合わせの方がみえられました。」


と係りの人が、案内してきた。


「まあまあ、すっかりお待たせしてしまい、申し訳ありません、芳美さん。」


「いえ、私たちも、今来たばかりですよ。香里さん。」


母に『香里さん』と呼ばれた女性と、もう1人着物を着た若い女性が、俺たちの前に、座る。


顔をあげてその女性を見て、俺は、心臓が止まるかと思う位、驚いた。


弥生だった。


「本日は、よろしくお願いいたします。これが、息子の浩輝です。」


「こちらこそよろしくお願いいたします。娘の弥生です。先日、イギリスから帰国したばかりで、久しぶりの日本ですの。だから、今日は、和食にしてみました。」


「それは、お疲れのところ、時間を取っていただきまして、感謝いたします。」


しばらく、母たち中心の話が続き、お互いの情報交換ができた。


俺が、来年から会社に入り忙しくなるから、学生のうちからお付き合いを始めた方が、わかり合えるだろうと、見合いを今日にしたことが、わかった。

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