悪役の私





潤はもしかしたら振られるかもしれないと少し予想がついていたのか、それ以上何も聞いてくることはなかった。




ただ、私のために予約してくれた店は行こう。




その日を最後に別れようと言った。




最後に顔も見ずに別れるなんておかしい。




その通りではあるが、さすがにご馳走までしてもらうのは申し訳ないと断った。




でも、潤は曲げなかった。




「最後にカッコつけさせて?」




という潤に、私は渋々了承した。




3年間も付き合った人とラインだけで終わらせようとするなんて、私は本当、覚悟も何にもない大馬鹿だ。




でも、出来れば会いたくなかった。




潤の優しさに触れたり顔を見てしまったら私はきっと、正気ではいられない。




罪悪感と今までの情が溢れてきっと泣き崩れてしまう。




ちゃんと、別れる覚悟をしなきゃいけないのに…。




私たちの最後のデートは一週間後。




その日が終わると私たちは他人なんだ。




連絡もしない。




顔を見ることもなくなる。




私は、間違っていないよね…?




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