もう一度出会えたら
沙羅の方に向いていた顔を元に戻すと、優しい目で見つめてくる涼くん。


きっと今の私の顔、真っ赤になってる。


薄暗い照明のお店でよかったけど、この店の雰囲気がより一層2人の空気を甘いものにしている気がした。


この手はいつまで繋いだまま…なの?


彼は何食わぬ顔をして、空いた左手でグラスを持ちビールを口に運んでいる。


どう見ても利き手である右手が使えないのは不便そうだけど 。


でもこの手を離して欲しくないと思っている私もいて、不意に今夜も彼とーー。


そんな不埒な事が頭をかすめた…。


一瞬でもそんな事を考えてしまった私を見抜いてるかのように彼は繋いだ手にギュッと力を入れる。


ねぇ、どうしてこんなにも私を惑わすの?


私が優しくされたら困るって言ったから?


彼の真意を知りたくて、彼の横顔をじっと見つめた。
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