もう一度出会えたら
もう抵抗はしなかった…と言うより出来なかった。


いつ誰が来るか分からないのに、廊下の奥に隠れ彼のキスに溺れる…。


コツッコツッと誰かの足音が聞こえ体がビクンとなったけどその足音は途中で聞こえなくなった。


どのくらいキスをしていたんだろう…唇を離した彼が私の頬を包みながら


『先に戻ってて下さい』と言った。


解放された唇は力が抜けて半開きのまま、まだ彼のキスを求めているようだった…。


もう一度お手洗いの鏡で取れた口紅を塗り直し、席に戻ると沙羅が1人で待っていた。


『菜々、遅いよ。悟くんも今、仕事の電話で席外してるし。気付いたらみんないないんだもん……っていうか何かあった?顔が赤いよ』


「えっ、そうかな。少し飲みすぎたのかも。それより、悟くんとはどうなの?見た感じすっごくいい雰囲気に見えるけど」


涼くんがいつ戻って来るか分からないから、今はあまり突っ込まれたくなくて沙羅に話題を切り替えた。
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