もう一度出会えたら
立ち止まることもないまま、駅に向かって歩いていく。


電車に揺られながら、徐々に彼の駅が近づいてくる………


彼は何も言わないし…もちろん私も何も言えなくて


ただお互いに言葉にはしないけど感じていることは同じだと思った。


でも彼の部屋には行きたくない…。


彼の部屋が嫌なのではなく、あの場所に行きたくないのだ。


彼の駅に着く直前、手を握ったまま彼がドアに向かって動き出した。


だけど私の体は動かなくて、彼は動きを止められ振り返った。


『…降りないんですか?』


「今日は、…帰ります。」


悩んだ末、そんな言葉が口をついて出てしまった。


なんとなく、本当のことが言えない後ろめたさからか正面から顔を見れなくて俯いてしまった。
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