もう一度出会えたら
が、ヒールのせいでバランスを崩してしまい身体がよろめいた。


あっ!と思ったその瞬間、誰かの力強い腕に支えられ、その人の胸に飛び込んでいた。


急いで態勢を起こし助けていただいたお礼を言って、下げていた頭をあげると優しい笑顔の彼と目があった。


自分の顔が一瞬で熱くなるのが分かった。


一目惚れだったのかもしれない。


その時電車が動き出しどこにも捕まっていなかった私の体は、またバランスを崩しそうになったけど急いで近くのポールに捕まった。


会社の最寄り駅に着くまで、近くに彼の気配を感じながら久しぶりに胸の高鳴りを感じていた。


それからの私は彼に会うため、電車の時間も早くした。
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