もう一度出会えたら
ヒロム君は納得したのかしないのか


『うちの菜々と蓮がお世話になったみたいでありがとうございました。』


そう言って兄は蓮を受け取った。


うちのという言葉に多少の牽制を感じたのは私だけだろうか?


蓮を抱いて玄関に向かったヒロム君が


「菜々ー鍵!」


と急かすから、鍵を開けて先に家の中に入っててもらった。


残された私と彼の間には、さっきまでの楽しい空気はない。


ヒロム君のせいなのか、微妙な空気が漂っている。


「今日は本当にありがとうございました。お陰で助かりました。お仕事の時間の方は大丈夫ですか?」


『大丈夫です。僕が勝手にしたことなのであなたは気にしないで下さい。』


「菜々ー蓮が泣き出したー」


邪魔をするようにヒロム君が玄関から顔を出してきた。


「すぐ行くから中で待ってて!」
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