もう一度出会えたら
すると悟くんがこっちに気づいた。


真実を知らなかった先週の病院の時よりも


真実を知ってしまった今の方が彼に会うのが怖い。


だけど後戻りも止まることも出来ない私は


確実に涼くんの方へ近づき距離が縮まっていく。


沙羅に手を振る悟くんに遅れて涼くんが振り返る。


沢山の人が行き交う駅の改札で私と涼くんの視線が交わった…


その瞬間、やっぱり迷惑だったんだと来た事を後悔した。


私を見て複雑そうな表情をした涼くん…


なんでここにいるの?何しにきたの?


と言われた気がして「こんばんは」と声をかけてくれた悟くんに


うまく笑顔を作れなかった。


そんな私とは対照的に沙羅は2人に話しかけている。


迷惑そうな顔を目の当たりにした以上、図太く居座るなんて


私には出来そうにない……
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