仮に君と恋をしたなら
私は真山の左手に自分の右手を重ねた。もう何度も見慣れている手なのに大きさも厚みも全然違う。漠然と大きいのは知っているし、男子だからで大して驚くほどでもない。でも実際触れると視覚情報の数十倍違いを知らしめられる。
「手、ちっさ」
「そっちがデカイんじゃん」
「そーか?俺、そんな手デカイ方じゃないけど。バスケットボール、ギリ掴めるくらいだし」
「十分デカイよ」
バスケットボールが基準なんだ…
「手、グーしてみて」
真山は私の拳に上から手を覆い被せた。
「完全に覆えるな。そのまま開いてみて」
真山の手の中で拳を徐々に開いていくと、真山の指の間を私の指が割ってこじ開け、隙間を埋めるように真山が指を絡めた。
「あ…」
「わ…!?」
「ゴメン、離す?」
え、え?!何、サラッとしてくれちゃってんの?!やっぱ、真山…慣れてない?!
天然でやってんなら末恐ろしいんだけど!
驚いて離そうとした私の指が真山の指のロックに突っかかって、バウンドした。
真山がどういうつもりなのか全然わからない。私たちは無敵なほどにお互いをわかり合っていると思っていたのに。もう、さっきから…わからないことばかりだ。