仮に君と恋をしたなら
手を繋いで歩くことに慣れていないから何だか落ち着かない。どこかしらソワソワしてしまう。
「なんか、山田カタくね?」
「だって、どんな顔をして歩けば良いのか分かんない」
「何だそれ!」
真山は笑った。私は割りと真面目に考えていたのに。
「別に顔作る必要ないだろ。ありのままで」
「真山は何でそんな平気なの?色々慣れてそうだしさ」
「全然平気なんかじゃねーよ。毎回ビビってるし」
そうは言ってもそうは見えない。でも、真山はいつも思ってることを言葉にしてくれる。
「俺はさー、山田とは気も合うし楽だしいつも何やっても何だかんだ楽しいから、今回の無茶なことだって楽しみたいんだよ」
…楽しむ?
そうか。私は、ただ嘘を貫く為の義務感で動いてた。
「俺らは間違ったかもかもしれねーけど、これで絆深まったりもした気するし、でも距離感難しいからさ、それで変に気まずくなったりすんのだけはイヤなんだよな」
「うん、私も」
気まずくなるのは嫌だ。それだけは避けたい。
でも、恋人ごっこをしていく上では避けられない気もする。
「だからさ、思ってることは出来るだけ口に出そーぜ。言いづらいことでも。わかんねーことあって当然だし、自分の頭だけじゃ答えなんて見つけにくくてしょーがねーじゃん」