仮に君と恋をしたなら
「…」
「…」
息が掛かるほどの距離に驚き、固まった。
「はい、気まずくなる前に、せーの!」
「近い!」
「近い!」
「プッ、これ、ちょっとスッキリすんね」
笑いながら私たちは身体を起こした。そして、呼び鈴を鳴らしてショートケーキとチーズケーキを1つずつ注文した。注文をしてからは10分以内に届けられ、私たちはケーキを直ぐに口へ運んだ。
「真山…ケーキにはやっぱり紅茶だよね」
「いや、カフェオーレだろ」
「開けちゃ…まずいかな?」
「まー、マナー違反だろーな」
私も真山も公園で飲みそびれた缶ジュースの話をしていた。私は、鞄からそっとミルクティーをテーブルの上に出した。それを見て真山もカフェオーレを出した。
「音立てるなよ?」
「そっちこそ」
私たちはウィスパーで「せーの!」とプルタブに指をかけて、缶を慎重に開けた。
プシッ!
「!」
「!」
割りと音が響き、焦る二人。周囲の反応を伺い、聞こえていなかったことに安堵し、息を吐いた。
「音、ビビった~」
「私も!」
とりあえず、缶で乾杯して喉を潤した。
「俺、店のなかで缶ジュース飲むの初めて」
「私もだよ」
「違和感半端ねーな!」
「今日を最後にしようね」
そう言いながらケーキを食した。