仮に君と恋をしたなら
食べ終えると、皿を重ねてテーブルの端に置き、缶ジュースは目立たない位置に控えめに置いた。私は、鞄からノートと筆記具を出し、真山に鞄を預けた。
「真山、鞄そっちに置いてもらっていい?」
「おう」
「で、数学のノート持って、隣来て」
「隣?いいけど」
真山は数学のノートを持って私の隣に座った。3人座れるスペースのある席な為、真山が隣に座っても狭く感じることはなかった。
「今日写したページ開いて」
「ん」
「…自分では読めるんだ?」
真山のノートは何度見ても見づらい。
「汚くて悪かったな!」
「やー、汚いとかいう問題じゃないもん。長い付き合いだけどこれは理解できないわー」
「うっせーな。見せねーぞ」
「あ、ごめん。でも見づらいから、隣で読んでってくれない?」
「はぁ?!」
真山は文句を垂れながらも音読していってくれた。私は、真山が読む通り、ノートをとっていった。
真山の声がすぐ隣から心地いい音で響いてくる。私のノートと自分のノートを交互に見ながら私のペンの早さに合わせて読み進めてくれる。
「大塚のも見やすかったけど、山田のも見やすいな。大塚のノートはカラフルだけど…山田のはシンプルで俺は…」
「いいから、次!…あ」
真山に悠のノートと比べられ少し不愉快な気持ちになって、ついキツく当たってしまった。