[完結]甘やかし王子様が離してくれません。
「頑張れば遅刻回避できるから、わたしのことなんて放置して走ってください!!」
「……何度言わせれば気が済むの。俺は別に遅刻しても構わないの」
そうきっぱりと言われて、迷惑をかけずに事を済ませるという道が閉ざされた。
わたしは目の前の人の遅刻を阻止することを諦めて、一緒に教科書を拾い始めた。
全部の教科書を拾い終わったタイミングで、始業のチャイム……遅刻決定チャイムが鳴った。
教科書をバッグに入れ、そのバッグを肩にかけたわたしはいきおいよく頭を下げた。
「ごめんなさい!!ちゃんと前見てなくてぶつかって、しかも教科書拾うの手伝ってもらっちゃって……!!」
捲し立てるように言うと頭上から困ったような声が。
「気にしなくていいから。俺が勝手にしたことだし」
「でも……!!何かお詫び……」