極上な彼の一途な独占欲
伊吹さんたちのブースは、最終日にまたひとつ順位を上げ、最終的に総合2位という快挙を成し遂げたのだ。

集合写真も含め、今日の終盤の写真で誰もがピースサインをしているのはそのためだ。ピースではなく"2"なんだけど。


「伊吹さん、次回のショーの運営も、ぜひ僕らを…」

「ちょっと挨拶回りしてくる」

「伊吹さぁん!」


追いすがる中山さんを無視して、伊吹さんは別の集団へと入っていってしまった。肩を落とす中山さんの背中を叩いて、「まあまあ」となぐさめる。


「毎回コンペでしょ? 心配しなくてもきっと御社が勝ち取りますよ」

「あの人、けっこう情に厚いくせに、こういうとこ流されないんだよなあ」


しくしく泣きながら漏らされる文句に、すごくよくわかると思った。


「だから安心感あるんだけどね。大事なとこで間違えずにいてくれるというか」


わかる、わかります。


「ショー終わっちゃったよ…楽しかったなあ…」


すっかり遠い目をして懐古モードに入ってしまった。

存分にスライドショーを眺めさせてあげようと、私もそっとその場を離れた。

カクテル片手に会場内をうろうろし、女の子たちの塊の横を通ったとき、「美鈴さん」と声をかけてきた子がいた。

葵ちゃんだった。

集団から出てきて、にこっと笑ってグラスをぶつけてくる。


「お疲れ様でした。ありがとうございました」

「お疲れ様。葵ちゃん、ほんと成長してくれたね。きついことも言ってごめん」

「いえ、私、美鈴さんを目指すことにしました」

「は?」


私服になると葵ちゃんは少し幼くなる。そういえばまだ、二十歳を少し超えたくらいの年齢だったはず。それでこの世界で十分やっていけてるんだからすごい。私はこのくらいの頃、のんきに学生をしていた。

葵ちゃんは両手でグラスを持ち、ちょっとうつむく。
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