極上な彼の一途な独占欲
伊吹さんの手が壁を探り、カードホルダーに荒っぽくカードを挿した。室内にふっとオレンジ色の光が灯る。
だけど私はほとんど伊吹さんの陰になって見えない。ドアをくぐった瞬間から離してもらえない。ひたすらキス、キス、キス。
反射的に押しのけようとした手首も掴まれ、さらにキス。
一区切りついたのは、私がバスルームのドアの枠に頭をぶつけ、思わず首をすくめて呻いたからだった。
伊吹さんが、荒い呼吸を静めるように、こくりと息を飲む。
それを間近で見た私は、急に伊吹さんの男らしさを生々しく感じて、今ごろ胸が激しく鳴り出した。
「あの…」
改めて、部屋の中に顔を向ける。
セミダブルサイズのベッドがふたつ置かれたツインルーム。私の部屋とは左右対称で、私物はきちんと整理されている。
ええと、と言わずもがなのことを、あえて確認したくなったとき、また唇が寄せられた。
背中のドアを押さえつけるみたいに、私の身体の両脇についた伊吹さんの手が、枷のように私を閉じ込めて、それがまたいい。
少し背伸びをして私からも唇を押しつけた。
伊吹さんは、なにかの合図を受け取ってくれて、ゆっくりと唇を深く絡めながら、両手を私の腕にすべらせる。指のすき間に、彼の指が入ってくる。
身体の横で、両方の手をそれぞれ繋いで、深いキス。
あのクールな伊吹さんの、キスはとても熱い。いや、クールというのが実はまやかしで、そもそも熱っぽい人なのかもしれない。
「打ち上げは…」
「俺の出番はもうないから」
「戻らないつもりですか?」
「戻るつもりか?」
咎めるみたいに唇を噛まれた。そんなつもりじゃないですよ、という意味を込めて、疼く唇であえて従順なキスを返す。
伊吹さんはちょっと笑って、鷹揚な柔らかいキスで包み込んでくれた。