極上な彼の一途な独占欲
いつも上げてある前髪が、汗で落ちて額を隠している。その様子がかわいくて手を伸ばしたら、ようやくまともにこちらを見てくれた。

子供をあやすような、はいはい、という目つきをして、隣に寝そべる私に、首を伸ばしてキスをくれる。

そのとき、デスクの上のPCと、伊吹さんの手の中の携帯が、ほぼ同時になにかを通知した。


「あ」

「なんです?」

「なんでもない」

「嘘ですよね?」


堂々と白を切っておきながら、渋る彼を押しのけて携帯を覗いた。届いていたのはヒロからのメールだった。

企画提案書とある。さっそくフリーライターとしての売り込みか。

伊吹さんの指先が、迷いなく添付ファイルを開いた。


「え! 今見るんですか」

「別にいいだろ」

「こんな状況で、ほかの男からのメールを…」

「お前が言うな」

「あっ、終わると冷たい人ですか?」

「鬱陶しいな、お前!」


ついにおかしそうに吹き出し、根負けした腹いせみたいに、片手で乱暴にブランケットごと私を抱き寄せる。私にも画面がよく見せるその体勢で、PDFの簡単な資料に目を通していく。

次第に彼が真剣になっていくのがわかった。煙草をヘッドボードの灰皿に置き、枕に顎を乗せて、じっくりスクロールさせている。


「…いい企画ですか」

「うん」


わ、シンプルな絶賛。

伊吹さんはもう少し説明したくなったようで、「うちのブランドからカスタマーに発信するレターの提案だ」と続けた。
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