極上な彼の一途な独占欲
「なんてね。申し訳ないなんて思ってないです。この焼きもち焼きな人を、どうしてやろうかなって考えてただけで」


ぽかんとしている伊吹の前で、バッグを放り出して胸に飛び込んできた。抱きついて伊吹を見上げる。


「尊さんなんか繋ぎです。だから早く繋いで? その後でバーに行って、それから神部のところに合流します」


女性の中では背の高いほうだと思うが、伊吹とは20センチほど身長差のある美鈴が、背伸びをした。その催促に、伊吹は負けて、キスをした。

笑ってしまう。いい歳して、こんなのに振り回されて、それが楽しいなんて思っている自分。ちょっとしたことで気持ちが上下して、愛しさと憎らしさが交互にやってくる。これはなんだ?


「結局全部やるんだな」

「欲張りなんです。したいことは我慢しないの」


はいはい、と向こうの身体に腕を回し、抱きしめた。一度消えかけた昂ぶりは、自分でも呆れるほどあっさりと戻ってくる。

ねだられるままにキスをして、温かい身体を掻き抱いて、服をスカートから引っ張り出して素肌の背中に手を入れる。

美鈴が熱い吐息を漏らした。


「バーに行く時間は作れないかもしれないぜ」


いやらしく笑いかけてみると、少し上気した瞳が見返してくる。

ちょっと反抗的な、楽しげな瞳。


「それならそれでいいです」


笑いながら、たっぷりと熱いキスをした。

火照ってくる身体をぴったりと寄せ合って、抱きしめ合って。

高鳴る胸。くらくらする頭。

これはなんだ?

知りたいようで知りたくない。名前をつけてしまったら、自分はきっと気恥ずかしさに、それに反発したくなる。

大事で、愛しくて、離したくない。できれば美鈴にも同じように思っていてほしい。それで全部。
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