黒猫の香音(後編)





プルルルルル…







、とその時、香音の携帯音が響いた。





香音は撃たれた右足が未だ痛む為、傍にあった椅子に身体を委ねてようやくテーブルの近くにあった携帯を手にする。




「…もしもし、航聖は無事なの?」



其の一言からどうやら電話の相手は瑠華らしい。



『電話出たと思ったら第一声が其れかよ…まぁ、良いや。



あぁ、今大分落ち着いてて病室のベッドでゆっくり安静中だ。』




瑠華の一言を聞いて香音はほっと胸を撫で下ろす。




『おばさん達、もう来てるのか?』



「うん、ついさっき来たところ。


母さん達が来なかったら確実に殺られてけど。」



『…御前、昔から直感だけで動くの止めろよな。


本当に死んでたらどうするつもりだったんだ!』



「うん、後免…」



真剣に怒る瑠華の声を聞いて先程死ぬのも悪くないと思っていた自分が急に情けなくなり、香音は電話口で謝る。




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