不器用な彼氏
『最近あの子、少し変わったような気がしていたけど、やっぱりあなたのおかげね』
『まさか、違いますよ!』
『ううん。間違いないわ』

“とんでもない”と、やや大げさに否定するも、お姉さんはなぜか、確信を持って断言する。さらに、手元を動かしながら、急にワントーン声を落として、

『自分をわかってくれてる人が、そばにいてくれるって、とても安心するのよ…特に、素直じゃない人間はね?』

独り言のようにつぶやく。

『そういう人、お姉さんも、いるんですか?』

思わず流れで聞いてしまったのだけど、お姉さんは何故か少し悲しそうな瞳をして、その質問には答えず、

『ずっと一緒にいて、離れちゃだめよ』

と、微笑んだ。
< 116 / 266 >

この作品をシェア

pagetop