不器用な彼氏
『随分遅かったな』
『ごめん。靴に砂が入っちゃって、歩きづらくって…』
そう言いながら、スニーカーに入った砂を、片方ずつ脱いで捨てようとする。バランスを保つために、近くにあった壁に着こうとしている手を、腕ごと掴む。
『俺に捕まれば良いだろ』
言ってから、まるで壁に嫉妬しているみたいな言い方になってしまったことに気づくが、あながち間違いでもないからいいかと、アイツを見たら、『ありがとう』と嬉しそうに頬を赤らめる。
支えるために伸ばした手のひらに、アイツの小さな手が触れる。
ああ、やっぱりそうか…と、実感する。
触れた瞬間から流れ込むアイツの想いに、こっちだって負けて堪るかと、めいいっぱいの感情を注ぐ。
『…ッ』
アイツが咄嗟に手を放す。
『どうした?』
『あ、いや、何か…今』
面白い程の反応に、思わずニヤリとしてしまう。
『ううん…やっぱり、何でもない』
訳も分からないという顔で、自分の手のひらを見つめるアイツを見ながら、俺のような口下手には最良の表現方法だとほくそ笑むと、俺は、心の中で“これからは容赦せず触れさせてもらうぞ”と、宣戦布告を決め込んだ。
『ごめん。靴に砂が入っちゃって、歩きづらくって…』
そう言いながら、スニーカーに入った砂を、片方ずつ脱いで捨てようとする。バランスを保つために、近くにあった壁に着こうとしている手を、腕ごと掴む。
『俺に捕まれば良いだろ』
言ってから、まるで壁に嫉妬しているみたいな言い方になってしまったことに気づくが、あながち間違いでもないからいいかと、アイツを見たら、『ありがとう』と嬉しそうに頬を赤らめる。
支えるために伸ばした手のひらに、アイツの小さな手が触れる。
ああ、やっぱりそうか…と、実感する。
触れた瞬間から流れ込むアイツの想いに、こっちだって負けて堪るかと、めいいっぱいの感情を注ぐ。
『…ッ』
アイツが咄嗟に手を放す。
『どうした?』
『あ、いや、何か…今』
面白い程の反応に、思わずニヤリとしてしまう。
『ううん…やっぱり、何でもない』
訳も分からないという顔で、自分の手のひらを見つめるアイツを見ながら、俺のような口下手には最良の表現方法だとほくそ笑むと、俺は、心の中で“これからは容赦せず触れさせてもらうぞ”と、宣戦布告を決め込んだ。