不器用な彼氏
…7月に入り、梅雨も明け、いよいよ夏本番の暑さ。
その日は、前の週の連休に仕事が入り、会えなかった為に、その埋め合わせとして、アイツと都心まで映画を見に行く計画をしていた。
いつも通り、早めに起きて、リビングで新聞に目を通していると、姉貴がスエット姿で降りてくる。
『あぁ~よく寝たわ~』
『服ぐらい着替えて来いよ、だらしねえな』
『別にいいじゃない?自分の家なんだから…あ、何?それアイスコーヒー?私にも1杯、頂戴』
『ブラックだぞ』
『え~ミルクくらい入れてよ』
『ッたく、面倒くせぇ』
渋りながらも、素直に従う。今週は両親が海外旅行に出かけていて、姉貴の機嫌を損ねては、飯にありつけなくなる。それでなくとも、最近はいろいろ借りがあり、頭が上がらなくなっていた。
『何、アンタ出かけるの?』
『まあな…』
『あら、例の菜緒ちゃんと?』
『ああ』
『ホント、変わったわねえ、カイ。すっかりマメ男君になっちゃって』
『ほら、量わかんね~から、自分で入れろ』
俺は、姉貴の前のテーブルに、アイスコーヒーの入ったマグカップと、牛乳パックを置く。『横着したわね』と言われるが、知ったこっちゃない。
『そういえば、アンタ達、旅行いつ行くんだったっけ?』
『来週の金曜』
姉貴は、マグカップに、牛乳を注げるだけ入れると、かき混ぜもせずにそのまま飲み、ニヤつきながら聞いてくる。
あの備品庫での出来事の後、このタイミングを逃すと、また先送りになりそうな気がしたので、あれからすぐ旅行の話を持ち出し、具体的な場所も日程も、早々に決めてしまった。
その日は、前の週の連休に仕事が入り、会えなかった為に、その埋め合わせとして、アイツと都心まで映画を見に行く計画をしていた。
いつも通り、早めに起きて、リビングで新聞に目を通していると、姉貴がスエット姿で降りてくる。
『あぁ~よく寝たわ~』
『服ぐらい着替えて来いよ、だらしねえな』
『別にいいじゃない?自分の家なんだから…あ、何?それアイスコーヒー?私にも1杯、頂戴』
『ブラックだぞ』
『え~ミルクくらい入れてよ』
『ッたく、面倒くせぇ』
渋りながらも、素直に従う。今週は両親が海外旅行に出かけていて、姉貴の機嫌を損ねては、飯にありつけなくなる。それでなくとも、最近はいろいろ借りがあり、頭が上がらなくなっていた。
『何、アンタ出かけるの?』
『まあな…』
『あら、例の菜緒ちゃんと?』
『ああ』
『ホント、変わったわねえ、カイ。すっかりマメ男君になっちゃって』
『ほら、量わかんね~から、自分で入れろ』
俺は、姉貴の前のテーブルに、アイスコーヒーの入ったマグカップと、牛乳パックを置く。『横着したわね』と言われるが、知ったこっちゃない。
『そういえば、アンタ達、旅行いつ行くんだったっけ?』
『来週の金曜』
姉貴は、マグカップに、牛乳を注げるだけ入れると、かき混ぜもせずにそのまま飲み、ニヤつきながら聞いてくる。
あの備品庫での出来事の後、このタイミングを逃すと、また先送りになりそうな気がしたので、あれからすぐ旅行の話を持ち出し、具体的な場所も日程も、早々に決めてしまった。