不器用な彼氏
しばらくは、駿河湾に住む魚を中心に、二人で色とりどりの魚を観てまわる。
意外にも、私より海成の方が、一つ一つ真剣に観ているのが、可笑しかった。
魚の泳ぐ水槽を食い入るように観ていたと思ったら、次にその魚の説明を、じっくりと、読む。
その様が、子供の頃にクラスにいた、生物大好き少年みたいで、思わず笑ってしまいそうになり、握ってない方の手で口元を抑えると、透かさず『なんだよ?』と睨まれ、『何でもない』と、いかにも何でもある風に答える。
いくつかの水槽を見てまわった後、少し開けたエリアに出たと思ったら、何やら前方に人だかりができていた。
よく見ると、どうやら先ほどの幼稚園の団体さんが、とある水槽の前で、立ち止まっている。
その水槽はかなり大きなもので、両脇の鏡のせいか、実際よりも大きく見え、遠くからでも何が入っているのかは、見て取れた。
『クラゲ万華鏡水槽だと。今から餌やりタイムらしい』
背の高い海成が説明してくれる。正直、その水槽にクラゲがいるのは遠目でも分かったけれど、さすがに餌を与えてる様子までは、人の頭だらけで何も見えない。
一番前は幼稚園児、その後ろにその親御さん達が観覧しているようだった。海成は興味津々で、水槽を眺めてる。
…と、すぐ近くで、子供のグズる声が聞こえてきた。
『見えないよ~』
『そうね。たくさん人がいるから、仕方ないわね』
『パパ、あの子みたいに、肩車して』
『ごめんなユウタ、お父さん、今日はちょっと無理なんだ』
『え~見たい!見たいよぉ』
『ユウタ!パパに無理言わないの』
ちらりと見ると、すぐ近くにいた、5~6歳くらいの少年が、このクラゲの餌やりを見たいと言っているようだった。
お母さんらしきその女性は、赤ん坊を抱っこしていて、お父さんの方は、どうやら腕を怪我しているようで、右腕にギブスをしているようだった。
その状態では、確かに肩車はしてあげたくても、できないはず。
意外にも、私より海成の方が、一つ一つ真剣に観ているのが、可笑しかった。
魚の泳ぐ水槽を食い入るように観ていたと思ったら、次にその魚の説明を、じっくりと、読む。
その様が、子供の頃にクラスにいた、生物大好き少年みたいで、思わず笑ってしまいそうになり、握ってない方の手で口元を抑えると、透かさず『なんだよ?』と睨まれ、『何でもない』と、いかにも何でもある風に答える。
いくつかの水槽を見てまわった後、少し開けたエリアに出たと思ったら、何やら前方に人だかりができていた。
よく見ると、どうやら先ほどの幼稚園の団体さんが、とある水槽の前で、立ち止まっている。
その水槽はかなり大きなもので、両脇の鏡のせいか、実際よりも大きく見え、遠くからでも何が入っているのかは、見て取れた。
『クラゲ万華鏡水槽だと。今から餌やりタイムらしい』
背の高い海成が説明してくれる。正直、その水槽にクラゲがいるのは遠目でも分かったけれど、さすがに餌を与えてる様子までは、人の頭だらけで何も見えない。
一番前は幼稚園児、その後ろにその親御さん達が観覧しているようだった。海成は興味津々で、水槽を眺めてる。
…と、すぐ近くで、子供のグズる声が聞こえてきた。
『見えないよ~』
『そうね。たくさん人がいるから、仕方ないわね』
『パパ、あの子みたいに、肩車して』
『ごめんなユウタ、お父さん、今日はちょっと無理なんだ』
『え~見たい!見たいよぉ』
『ユウタ!パパに無理言わないの』
ちらりと見ると、すぐ近くにいた、5~6歳くらいの少年が、このクラゲの餌やりを見たいと言っているようだった。
お母さんらしきその女性は、赤ん坊を抱っこしていて、お父さんの方は、どうやら腕を怪我しているようで、右腕にギブスをしているようだった。
その状態では、確かに肩車はしてあげたくても、できないはず。