不器用な彼氏
『あ、そういえば…』

話題を変えようと、さっきの親子のことを思い出し

『さっき、ユウタ君のお母さんに、「彼、優しいですね」って言われちゃった』
『はぁ?』
『しかも、良いパパになりそうだって』
『なッ!』
『ふふふ』
『ガキなんか、まだ早えーだろッ』

あからさまに動揺しまくる海成。

もちろん、冗談なのだけど、周りから見たら恋人同士よりも、夫婦に見られてしまう私達。
年齢的にも子供がいたって、おかしくはない。

正直言えば、私だって、今すぐじゃなくても、そんな未来も考えない訳じゃないし。
…なんて、気の早い話だけど。

今は、“絶対ありえない”と、言われなかっただけ、良かったと思うことにしょう。

『ったく、行くぞ』
『うん』

照れ隠しなのか、なぜか怒った風に言うと、サッサと出口に向かってしまう。

海を背に、その後を追いかけ、海成の意外な一面がたくさん見れた水族館を後にして、本日の宿泊先である熱海へと移動した。
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