不器用な彼氏
ちょうど、最後の階段を下り、海岸手前の信号で立ち止まる。

海成の思ってもみなかった告白に、急に恥ずかしくなり、思わず足元に視線を落としていると、真上から更に、嬉しい独り言が降ってくる。

『ったく、これ以上そんなもん上げて、どうしょうって言うんだ?』

いつもだと困ることの多い彼の独り言も、こんな風に心の声が聞こえるなら、まんざら悪くないな、と思ってしまう。
でも、海成の本音が聞けたとしても、やっぱり私は、魅力的な女性になりたいって思うよ。

他の男性にどう思われるかなんて、どうでもいい。

海成が心配になっちゃうくらい、綺麗で魅力的な女性になって、ドギマギしてる海成が見たい、なんて言ったら、呆れるかな?

密かに芽生えた夢は、語らず心に秘めることにした。
< 191 / 266 >

この作品をシェア

pagetop