不器用な彼氏
ほどなくして、花火大会終了を知らせるアナウンスと共に、花火の為に会場内で落とされていた、ブルーライトの照明が一斉に点灯した。
それと同時に、海成が最初に立ち上がり、すぐに私の手を引いて、起こしてくれる。
周りの見物客も、皆一斉に動き出し、特別席と囲ってあった幕も、いつの間にか外されていて、砂浜から海岸、海岸を囲む道路まで、あっという間に、人や車が右往左往し始めた。
行き交う人に押され、思わず海成に掴まると、大きな胸の内側に匿ってくれる。
『大丈夫か?』
『うん』
『人が少し減るまで、待つか?』
海成の提案に素直にうなずくと、比較的人の少ない波打ち際に移動して、混雑が解消されるのを、少し待つことにする。
波打ち際を、海成は両腕を組みながら、私はその浴衣の袖口につかまりながら、ゆっくり歩く。
淡いブルーの照明で、砂浜は、幻想的な世界が広がっていた。
時刻は午後9時。
寒くはないが、夜風が頬をかすめて、気持ち良い。
『花火、凄かったねぇ?』
『ああ、こんな近くで花火を見たのは初めてだ』
『海成にとって、今回の旅行って、何だか初めて尽くしね?』
『まあな…そもそも、女と旅行って自体が、初めてだからな』
『え?そうなの?』
『お前の方は……いや、聞く必要ねえな…』
砂浜を全体の半分ほど進み、後ろを振り返ると、さっきよりは幾分人は減ったけれど、まだ混雑が解消された訳ではなさそうだった。
それと同時に、海成が最初に立ち上がり、すぐに私の手を引いて、起こしてくれる。
周りの見物客も、皆一斉に動き出し、特別席と囲ってあった幕も、いつの間にか外されていて、砂浜から海岸、海岸を囲む道路まで、あっという間に、人や車が右往左往し始めた。
行き交う人に押され、思わず海成に掴まると、大きな胸の内側に匿ってくれる。
『大丈夫か?』
『うん』
『人が少し減るまで、待つか?』
海成の提案に素直にうなずくと、比較的人の少ない波打ち際に移動して、混雑が解消されるのを、少し待つことにする。
波打ち際を、海成は両腕を組みながら、私はその浴衣の袖口につかまりながら、ゆっくり歩く。
淡いブルーの照明で、砂浜は、幻想的な世界が広がっていた。
時刻は午後9時。
寒くはないが、夜風が頬をかすめて、気持ち良い。
『花火、凄かったねぇ?』
『ああ、こんな近くで花火を見たのは初めてだ』
『海成にとって、今回の旅行って、何だか初めて尽くしね?』
『まあな…そもそも、女と旅行って自体が、初めてだからな』
『え?そうなの?』
『お前の方は……いや、聞く必要ねえな…』
砂浜を全体の半分ほど進み、後ろを振り返ると、さっきよりは幾分人は減ったけれど、まだ混雑が解消された訳ではなさそうだった。