不器用な彼氏
もう、限界かもしれない。
じらさないで、その先に触れてほしいと、はしたなくも願ってしまう。

『や…海成……もうッ…』

不意に、その指先が止まり、真上から私を見下ろす。

『もう?…なんだ?』

呼吸が乱れたままの声で、恍惚な瞳で見つめ返し、ゆっくり言葉を発する

『もう…お願い…』

潤んだ瞳で、懇願するように海成を見つめると、口角がにやりと笑う。
その瞬間、彼の口が『…やっと、言ったな』と、動いた気がした。

かろうじて、覚えているのは、そこまでの記憶。
その後のことは、断片しか思い出せない。

自分の身体に起こる、絶え間なく続く極上の快楽。
その合間に見える、海成の後ろに広がる夜空から降るような、満天の星空…。


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