不器用な彼氏
海成は、そのまま降りてきて、ベットの縁に座り、私の額に手の甲で触れ『身体、大丈夫か?』と聞いてくる。
その質問に答えるのは、さすがに気恥ずかしく、『今何時?』と聞く。

『8時半』
『…そんなに?』

昨夜、眠りについた時刻は覚えていないけれど、かなり遅かったのには、違いない。
本当は、もう少し早く目覚める予定だったのに。

『海成は、何時に起きたの?』
『7時過ぎかな?』
『なんで、起こしてくれなかったのよ?』
『…起こそうと思ったが…良く寝てたからな』

聞けば、もう朝から温泉の湯に浸かり、朝風呂を楽しんだらしい。
道理で、スッキリしているはずだ。

確か、花火大会の翌日ということで、チェックアウトの時間は通常より少し遅くなっても、大丈夫だった気がするが、今日の予定を考えると、のんびりもしていられない。

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