不器用な彼氏
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宿から熱海駅の駅前商店街までは、車で10分もかからなかった。
さすがに、夏休みの週末の土曜日。
午前中にもかかわらず、たくさんの人で賑わっている。
運よく一台空いた、駅近くのパーキングに車を停め、アーケードに並んでいる土産物店を、順番に散策して歩く。
それぞれの店には、所狭しとたくさんのお土産品が並べられ、つい目移りして迷ってしまう。
『お姉さん、お饅頭好きかな?』
『甘いものは全般好きなはずだ』
『じゃ温泉饅頭にしょうかなぁ…』
店頭で、お土産ものを見ていると、3~4歳の子が『いらっちゃいませ』と、声をかけてきた。
クリッとした目がぱっちりと可愛らしく、日本人形のような真っ黒な黒髪は、耳の下あたりで切りそろえていて、陽の光に当たって、天使の輪が輝いている。
どうやら、このお店の子供のようだった。