不器用な彼氏

駅前の商店街を、時折、アーケード内の暑さ緩和の為のミストに当たりながら進む。

途中、理香子さんにもらった紙袋の中を確認した海成が、山ほど入ったお土産をみて、『土産、買う手間省けたな』と言い、結局、土産物の散策はやめて、駅前の定食屋さんで、海成が切望していた焼肉定食を食べることにする。

私も、今朝の朝食は、あまりにも時間がなくて、ゆっくり食べれず、昼食は少し早めに食べたいと思っていたのでちょうど良かった。

お腹も満たされ、午後は当初の予定通り、私の念願だった、熱海のパワースポットを、幾つか巡る。
その中でも、ずっと訪れてみたかった、樹齢２０００年の御神木が祭られている【来宮神社】に、足を運んでみる。

駐車場に車を置き、参道の入り口まで進むと、まだ足を踏み入れていないのに、その荘厳な佇まいと、何とも云い表せない圧迫感に、思わず立ち止まる。

先を行く海成は、立派な鳥居の前に立ち、手を合わせ、丁寧に一礼すると、さっさと、参道に入ってしまった。

私も急いでその後を追い、海成に倣って、手を合わせ一礼すると、鳥居をくぐり、緑豊かな参道に足を踏み入れた。