プレミアムステイは寝不足がベスト
朝方まで喋り倒した私たちは、4時間だけ眠った。
チェックアウトは13時だが、ホテルの朝食ビュッフェは外せない楽しみのひとつである。
ドレスコードはないとのことだけれど、レストランに入るのに恥ずかしくない程度には身なりを整えねばならない。
ふわふわの部屋着を脱いで、持ってきていた衣類に着替える。
メイクとアクセサリーはチェックアウトの前、髪は寝癖が直ればいいか……と思っていたのだが、彼女は昨夜の飲酒や涙が嘘のように、完璧なメイクを施し着飾っていた。
「え、なんでそんな気合い入ってんの?」
私の問いに、彼女は不敵な笑みで答える。
「だって出会いが転がってるかもしれないじゃん。いつでも出会えるように、キレイにしとかなきゃ」
暗いうちは夜景を見せてくれた大きな窓から差し込む自然のクリアな明かり。
そしてゴージャスな部屋という背景の効果もあって、彼女がキラキラして見える。
メイク前にアメニティのオイルで揉み出したのか、浮腫みさえどこにも感じられない。
楽な格好かつノーメイクで部屋を出ようと思っていたけれど、これでは次の恋に前向きになって輝いている彼女の隣を歩けない。
夢のような非日常はまだ続いている。
それに気づいた私は、慌ててメイク道具を取り出した。
fin.


