浅葱色の妖




「うーん、収穫なしかぁ」



すっかり日の暮れて暗くなった屯所の外で呟いた。



今日一日ずっと屯所内を歩き回って隊士の話を盗み聞きしまくっていたけど、何もわからなかった。



そう簡単には分かるはずがないよね。



分かっていても、隊士の他愛ない世間話を聞くたびにため息がこぼれた。



夕食を済ませた私は土方さんの助言により銭湯へ行ってきた帰りだ。



さすがに屯所の風呂に入るのはまずいらしい。



お春さんはどうしているのかと聞いたら、ここに住んでいるわけではないと言われた。



ここにいる女は私だけ。



外で風呂に入るのも仕方がないことだろう。



そんなことを考えながら歩いていたら、いつの間にか土方さんの部屋の前についていた。
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