浅葱色の妖
どきりと胸が鳴る。
世界から音が無くなったような気がした。
頭の中をぐるぐるとあの日の映像が駆け巡る。
この人が私のお母さんを殺した?
この人が私の探している人なの?
こんなにすぐに出会うだなんて。
段々と怒りが込み上げてくる。
『あの人』を思い出して、あの日を思い出して、悔しくて堪らない気持ちになる。
瞬きすらできない、緊張感を私だけが感じているみたいだ。
そんな私の様子を見て、彼は手を止めた。
「なんだ、隊服なんか見つめて」