副社長は甘くて強引

 家に帰る途中のコンビニで買ったのは、おでんと肉まん。そして今日はクリスマスイブだからと、苺がのったショートケーキも忘れずに買った。それらをリビングのテーブルに並べる。

「いただきます」

 我ながら変な食べ合わせだと思う。でも寒さには勝てず、体が温まるものを買ってしまったのだ。おでんの大根を頬張ると、スマートフォンが音を立てる。着信は佐川からだ。

 なんだか最近の佐川、やたら私に話しかけてくるんだけど……。

 今までと違う佐川の様子をおかしく思いながら通話ボタンを押す。

「もしもし」

『あ、佐川だけど今大丈夫?』

「うん。大丈夫だよ」

 スマートフォン越しの佐川の声に耳を澄ませる。

『あのさ……』

 佐川が話を始めようとしたとき……。

 ――ピンポン。

 ドアホンが鳴る。

「あ、佐川ゴメン。だれか来たみたい。あとでかけ直すね」

『……』

 スマートフォン越しの佐川からの返事はない。

「佐川?」

『かけ直さなくていい。ただ大橋の声が聞きたかっただけだから。それじゃあ』

「あっ、佐川?」

 私の呼びかけも虚しく、通話が切れる。

 やっぱり佐川、ちょっと変だ。

 佐川のことが気になりつつも、今度はドアホンの応対をする。

「はい」

『お届けものです』

「はい」

 実家の親がなにか送ってくれたのかもしれない。

 そう思いながらオートロックを解除する。印鑑を用意していると玄関のドアホンが鳴る。

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