副社長は甘くて強引

「今日、大橋を誘ったのは、これを渡したかったからなんだ」

 赤い包装紙に金色のリボンで綺麗にラッピングされた長方形の箱が、私の前にコトンと置かれる。この包装紙とリボンはハートジュエリーのクリスマス限定のもの。ラッピングをほどかなくても中に入っているものがなんなのか、販売スタッフの私にはわかってしまう。

「どうしてこれを私に?」

「俺からのクリスマスプレゼント。本当はイブに渡したかったけれど、仕事が忙しかったし、タイミングが合わなかっただろ? 遅くなったけど受け取ってほしい」

 佐川がクリスマスプレゼントをくれる理由がわからない。それにジュエリーのような高価なものを気安くもらうわけにはいかない。

「悪いけどもらえないよ」

 テーブルの上に置かれたラッピングされた箱を、佐川の前に押し返す。

「副社長からの指輪は受け取ったのに、俺からのプレゼントはもらえないっておかしいよね?」

「だってこれは……」

 副社長からもらったルビーの指輪にそっと触れる。これは自分に自信がつくお守り。この指輪のおかげで販売成績が上がったと私は信じている。

 でも佐川のプレゼントの意味は?

 最近、佐川の様子がおかしい理由が、今なんとなく理解できた。

 佐川はいつから私のことを……?

 そう聞きたいのに様々な感情が入り乱れて、言葉にならない。

「いいからもらってよ。俺がこんなの持っていても仕方ないし」

「……」

 そんなこと言われても困る……。

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