副社長は甘くて強引
コーヒーショップに入って窓際のカウンター席に腰を下ろすと、オーダーしたホットコーヒーのカップで冷えた指先を温める。その右手薬指に光るのは、副社長からプレゼントしてもらったフォーエバーハートの指輪。
やっぱり綺麗だし、かわいい……。
うっとりしながら指輪を見つめていると、テーブルの上に置いていたスマートフォンが音を立てた。着信相手はもちろん、副社長だ。
「もしもし」
『なにニヤけているのかな?』
「えっ?」
どうして私の様子がわかるの?
スマートフォン越しの彼の言葉に驚き、顔を上げる。すると外からコーヒーショップの中を覗き込む副社長と、ガラス越しに目が合う。彼はクスッと笑いながら通話を切ると、私に向かって手招きをした。
カウンター席から立ち上がるとバッグとコートを手に取る。そしてコーヒーカップを返却すると急いで外に出た。
彼との距離はたったの一メートル。しかし今は、その短い距離さえももどかしい。
「副社長!」
彼のことが好き……。
三週間も会えなかった寂しさを埋めるために地面を蹴ると、彼に向かって走りだす。
「京香!」
三週間振りに再会した副社長の口から飛び出したのは、いつもの『キミ』ではなく『京香』という私の名前。感極まった私は彼の胸に思いきり飛び込む。
「おっと」
衝撃を受けてふらつきつつも、彼は私をしっかりと抱き止めてくれた。