副社長は甘くて強引
彼に連れてこられたのは、東京プリマホテルのスイートルーム。ドアを閉めると同時に体がふわりと浮かび上がる。
「副社長、帰ってきたばかりで疲れているんじゃないですか?」
「疲れていないと言ったら嘘になるが……休むのは京香をじっくりと味わってからにする」
「……っ!」
彼の口もとがニヤリと上がる。
部屋の照明も消していないのに、そんな恥ずかしいことを言うなんて、絶対にわざとだ。
私の反応を見て楽しんでいる副社長の視線が恥ずかしくて、彼の胸に顔をうずめる。
「そんなに照れると、もっとイジメたくなるな」
「……副社長の意地悪」
「罵(ののし)られるのも悪くない」
「もう……」
私をからかうのは緊張をほぐすため?
彼らしい心配りがうれしい。
副社長が足を進めるたびに、横抱きにされた体がゆらりと揺れる。その心地いい振動とドキドキと高鳴る鼓動の音がシンクロするのを感じつつ、幸せを噛みしめた。
スイートルームの豪華な内装を見る間も与えられずに、ベッドルームにたどり着く。
ベッドの上にポスンと下ろされた私から瞬く間にコートが取り払われ、彼も自らハーフコートを脱ぎ捨てる。
「京香……」
隣に腰を下ろした彼は、低く艶やかな声で私の名を呼ぶ。そして私の頬に手を添えると、ゆっくりと唇を寄せてきた。
「……副社長」
そうつぶやいて二度目のキスを受け入れようとしたとき、彼がクスッと小さく笑った。
「副社長って呼ぶなよ」
照れくささを感じつつも、彼の願い通りの言葉を口にする。