I line xx

だめだ

このまま会社なんて行けない

前方からスーツ姿の人が沢山歩いてきた

先にある大きな交差点を左に曲がると

地下鉄の駅があるのだ

今ならそこから名古屋駅に行って

新幹線に飛び乗れば

午前中にはハルの部屋に行くことができる


立ち止まり

ハルの声を待った

「駄目だそ、会社休んだら」

ざわつく心を見透かされた気分だった

そしてハルに逢えるかもという

恋しい気持ちが哀しみに染まった

だって随分逢っていない

ホントは毎日だって逢いたいのだ


仕事の帰り

公園を散歩する時

仲良く手を繋いで歩くカップル

独りで入るコーヒーショップ

何時も考えるのはハルのことだ

一緒に手を繋いて歩く公園

さっき立ち寄ったお店の話や

週末の予定の話

ラインでしているから我慢できる

ホントは同じ空間で触れ合っていたい

彼の笑顔を見ていたい

だって彼が好きなんだもん

好きってそういうことだよね

ハル

その言葉に笑顔で返事を返した

「ばれちゃった?さぼってハルに逢いに行きたかったな。」

心が痛かった

この痛みが

何より辛かった

「今回俺のせいで公演がキャンセルになった

俺皆に迷惑かけたんだ

愛果にはそんな辛さ感じて欲しくない。

大丈夫、迎えにいくまで待ってて。」

声に優しさが滲みでていた

ああ、もう逢いたくてたまらなかった
< 5 / 62 >

この作品をシェア

pagetop