I line xx
近頃はお互いに忙しくて

ラインでのやり取りでお互い我慢していた

ハルは特に電話しにくい状態が多くて

お互いすぐに繋がれるラインに助けられていて

それに慣れ始めていた

声を聞きたくなれば電話すればいい

動画も送れる

こうして少ない時間の間に言葉を交わすのが

何より楽しみになっていたのだ

でも今日はなんだか

それがまどろっこしく

もどかしかった

珈琲を飲み終わる頃には

まどろっこしさは

恋しさに変わった

ハルの声が聞きたい

ちょっとおどけた彼の声が聞きたくて

仕方なくなった


「待ってて電話する」


そうメッセージを送る

そしてカップを片付けると

店を後にした

近くのオフィスに出勤する人達の


人の流れに乗りながら


ラインの電話ボタンを押した


いつもの呼び出し音が

流れ

暫くするとハルの声が聞こえた

鼻声だった


「大丈夫」

私がそう尋ねる


足元を落ち葉がカラカラと音をたてて

風に飛ばされていく

「もう駄目、おしまい俺」

多分仕事のことを気にしているのだ

その声を聞いただけで

猛烈にハルを抱きしめた気持ちになり

スマホを持つ手をギュッと握りしめた
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