夢のひと時
答えることができずにいると、先輩が「あれ?」と言う。

「即答かと思ってたけど。僕に会いたくてここに通ったんじゃないの?」

今なんて?

「友達との会話聞こえてたよ」

一瞬で奈美との全会話を思い出して叫びたくなった。一目見るために通ってたことが知られていたなんて恥ずかしすぎて顔から火が出そう。夢なら今すぐ覚めてと思うのに目は覚めないし、だんだん顔から血の気が引いていくのが分かる。

「あの、決して私は……」
「いや、ストーカーとか思ってないから大丈夫。本当に僕達は似てるなと思っただけ」

意味が分からなくて首を傾げると、笑顔が返ってきた。

「じゃあその話はディナーの時にゆっくり」


こんなにも恥ずかしいのに、やっぱりこの夢が覚めて欲しくないと思ったのは、話が気になってしまったから。彼の話を聞かないなんて選択をどうして私ができるだろうか。




その夜、見たことがないような絶景を見下ろしながら、先輩から去年ここのロビーで私を見かけたという話を聞いた。時期からしておそらくデザートビュッフェ会の時だ。そしてその時から三上猛の打ち合わせ場所はこのホテルになったそうだ。


私は彼の生み出す緻密な物語をよく知っている。だからこの物語の結末もきっと彼のプロット通りなのだろう。

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