遠いあなた
引越しはすぐに

「うん!!」

って言ったから
着々と準備が進んでた。
人生初の引越し。

引越しのダンボールにものを入れる時
生まれ育ったこのマンションの102号室とも
お別れだってちょっと涙が目に溜まったけど

私はやり直すんだ。
いい子になるんだ。

その思いだけで必死に前だけ見て進んだ。

引越しの日は思ったより早く来た。

ここに帰ってこられることはもう一生無いだろう。

今までありがとう。って言いたかったけど
現実問題そんな時間なんて無いし、恥ずかしいから、

心の中で言った。

『ありがとう。大好き。忘れないよ。』

じいじの家は近い。車で十五分で着く。

頻繁に行ってたからもうここに帰ってこれないんだって実感がわかないけど

道とか交差点とかコンビニとか通学路とか…

1個ずつ目に焼き付けた。
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