御曹司と愛されふたり暮らし
「ところで……さ」

ふと、ハルくんが真剣な表情で私を見つめる。


なんだろう?と、私もジュースのコップをテーブルに置いて、ハルくんを見つめ返すと。



「……ケガ、は大丈夫なのか」




あ……と思った。

私が異性をニガテなことを覚えてくれていたくらいだ。
ハルくん、やっぱり私の足のケガのことも記憶にあったんだ。


十年以上、ずっと気にさせてた?

胸が一気にざわっと音を立てて、私は身を乗り出して慌てて答えた。

「だっ、大丈夫だよ! 普通に歩けるし、走れるし、とっくにバッチリ完治してるから! ハルくんが気にするようなことはなにもないよ!?」

実際、その通りだ。靭帯を痛めて、完治に少し時間はかかったものの、今はなんの問題もない。


するとハルくんは、ホッと肩の力を抜いて、

「良かった」

と笑った。


……やっぱり、ずっと気にさせて、苦しめていたのかな。

あのケガはハルくんのせいじゃないのに。私の不注意だったのに。


ハルくんはこんなにやさしい。もしかしたら、想像以上に苦しめていたのかもしれない。



ごめんねハルくん。
そして……


大丈夫だよって伝えられて良かった。
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