御曹司と愛されふたり暮らし
「じゃあ、スポーツとかもできるか? テニスとか」

「スポーツも問題なくできるよっ。あ、でもケガは関係なくスポーツはニガテで……。そういう意味ではテニスはできない」

「はは。確か花菜は体育ニガテだったもんな。俺、時々テニスやるんだ。良かったら今度いっしょに行こうぜ」


わ……誘ってくれた。もちろん、深い意味がないのはわかってる。だけど、今日だけじゃなく、またハルくんに会えるかもしれない。それがすごくうれしい。



「でも良かったよ。もし俺が思ってた以上に大きなケガだったらどうしようってずっと思ってたから……」

「やっぱり、気にしてくれてたんだね……。ケガは私の不注意だったのにごめんなさい」

「なんで花菜が謝るの」

「えと、とにかく大丈夫だから! ちょっとキズが残ったくらいで、全然問題ないから!」

「え?」

「ん?」

ハルくんの表情が急に険しくなる。
どうしたんだろう? さっきまで安心したように笑ってくれてたのに。


すると彼は。

「キズ?」

と、私のさっきの言葉を繰り返した。


「え、あ、えっと。キズって言っても、ほんとに大したものじゃないよ。治療した時の、ちょっとしたキズ跡」

「でも、キズはキズだろ?」

「え? え?」

ハルくん、どうした? 今度は急に怒ったような表情になった。私、怒らせるようなこと言った?
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