御曹司と愛されふたり暮らし

「営業のお仕事かぁー。大変そうだねぇ」

「まぁねー。お客さんに怒鳴られることだってあるよぉ。花菜だって、大変なんじゃないの?」

「うーん、でもえりちゃんに比べたら全然だと思う」

話を聞くと、営業として働くえりちゃんは、いつもは残業が多く、こんなに早い時間に帰れる日はなかなかないらしい。
私はいつも定時上がりだし……えりちゃんもハルくんも、同い年なのに私よりよっぽど仕事してるような……う、私ももっとがんばらなくちゃ……。


そんなことを考えていると、えりちゃんが。


「ねぇ、そういえばさ」

コーヒーをすすってから、クールな含み笑いをして。


「花菜って確かひとり暮らししてたわよね? さっき、『夕飯作らなきゃ』って言ってたけど、もしかして、彼氏と同棲でもしてんの?」

と、聞いてきた。
思わず、私は飲んでいた紅茶を噴き出しそうになってしまう。
でも、その反応が彼女の含み笑いをさらに深く濃くさせる。


「なになにー? 花菜、ずっとそういうのに興味なさそうだったのに、ついに!? てか、マジで同棲!? やるじゃんヒュー!」

「えっ、違、いや、違くはないけど……!」

そう、確かに違くはないのだけれど、『同棲』と不意打ちで言われると、やっぱり恥ずかしくなってしまう。


でも。
今まで、ハルくんと同居していることは周りの人たちには内緒にしてきたけれど、彼とは恋人としてちゃんとお付き合いするようになったのだし、えりちゃんはハルくんのことも知っているはずだし、彼女には本当のことを話そうかな……恋愛経験の豊富そうなえりちゃんにいろいろ相談に乗ってもらえたら心強いし……。


そう思い、私はえりちゃんに、「小学生の時に同じクラスだった矢上 遥貴くんって覚えてる?」と聞いてみた。
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