御曹司と愛されふたり暮らし

「ただいまー」

夜。ハルくんは二十三時頃に帰宅してきた。


「お帰り! 遅くまでお疲れ様!」

パタパタと玄関まで向かうと、ハルくんがニッコリ笑ってくれる。


「ただいま。起きて待っててくれたのか? ありがと」

「そんな。あ、お夕飯用意してあるからね」

「サンキュ。もうほんとに腹減ったよ。でも、その前に……」


ハルくんは玄関で靴を脱いだあと、私の正面に立ち、ギュ……と、私のことをやさしく抱きしめてくれた。そして。


「好きだよ」

そう言って、朝と同じように、唇にそっとキスを落としてくれた――……。


ああ、ほんとに幸せで、心がとろけそうになる。

この幸せに、思わずうっとりとしてしまいそうになる。



こうしてまっすぐに愛を与えてくれるハルくんを見ていると、昔はチャラチャラしていたなんてやっぱり思えないんだよなぁ……。




その後、いつものソファに座りながらお夕飯を食べるハルくんの隣に私も座り、温かいお茶を飲んでいた。

たわいもない会話を続けていたのだけれど、ふと、私は今日の夕方にえりちゃんとバッタリ会ったことを口にしてみた。


「伊藤……あー、覚えてる。花菜と仲良かった子だ。男子にはわりと口うるさくて当時はちょっとニガテだったけど」

「あはは。そうなんだ。ちょっとお茶して帰ってきたんだ。えりちゃんもお仕事大変みたい」

「そっか。俺も会ってみたかったなぁ」

そう話すハルくんは、やっぱりいつも通りのハルくんで。昼間えりちゃんの言っていた”チャラチャラ”とか”とっかえひっかえ”っていう言葉は、やっぱりどうしても信じられなくなってくる。


……ちょっと聞くくらいなら、いいよね。そう思い、私は。



「……なんか、えりちゃんが変なこと言ってたんだよね。ハルくんが、高校生の頃は女の子をとっかえひっかえして遊んでた、みたいな」
< 134 / 180 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop