御曹司と愛されふたり暮らし
同居→極上なのに苦い日々
その後、アパートに荷物を取りに行ったり、家具や日用品を見に行ったりして、あっという間に夕刻を過ぎた。

まあ、マンションとアパートはそう遠くないから、なにか忘れ物や必要なものがあればすぐに取りに戻れる。
家具や日用品についても、必要最低限のものはハルくんがすでに揃えてくれてあったし、今日はこれといってそこまで買い物はしていない。

『欲がないな。気になったものはなんでも買ってやるぞ』

と、ハルくんはいっしょに買い物をしながらぶっ飛んだ発言をしてきたけれど……。

私のことを思ってくれての発言なのはわかる。
しかし、要注意だ。彼と私じゃ、お金の使い方がきっと違いすぎる。まあ、ハルくんからしたら”私のためにお金を使っている”だけで、自分のために無駄遣いをするような人じゃないだろうけど……。


そんな感じで、私たちはいっしょにマンションまで戻ってきた。

ハルくんがカードキーで玄関の扉のロックを解除して、部屋の中へと入り、私もそれに続く。


「あ」

靴を脱いで、廊下を歩いている途中で私がそう声をあげたので、ハルくんが立ち止まり、私の方を振り返って「どうかしたか?」と尋ねてくる。


「あ、えと。お夕飯どうする? 家具や日用品を見ただけで、食料品をなにも見てこなかったね」

もしハルくんと外食に行ったら、ハルくんは私の分までお会計すると言って聞かなそうだ。だからなるべく外食じゃなくて私が作ろう、とさっきまでは思っていたのに、食料品のお買い物をしてくるのをすっかり忘れてしまっていた! 私のバカ!
今日は外食かなぁ。そう思っていると、ハルくんからは意外な言葉が返ってきた。


「ああ、大丈夫。俺が作るから」


……え?
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